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​青森県内の魅力的な企業や地域を発信

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デザイン工房エスパス



 青森県はもちろん、地方には職種が少なく、自分のやりたい職種に就けないという人が一定数いると思います。でも、本当に職種は少ないのか?少なかったとしても、探し出せていないだけなのではないか? …と最近の私たちはぼんやり思っています。そこで、ニッチな職種パート1として、アート系の企業を探すことにしたのです!


<ESPACE>

 デザイン工房エスパスは、グラフィックを中心とする事務所です。土手町の大通りを1本入ったところにひっそりとたたずんでいます。通りすがりに見かけた、洗練された外観に興味を惹かれて調べてみると… なんとデザイン会社!といった具合に出会いは偶然でした。代表の木村正幸さんは、弘前大学の先輩ということもあり、快く取材を引き受けてくださいました。


<表面としてのデザイン>

 デザインの仕事では、外見だけでなく商品や広告の内容、いわば「中身」の企画段階から関わることもあります。デザインというと、配色を考えたり、イラスト描いたりといったグラフィックの仕事がイメージされがちです。しかし、メインとなるのは価値をどう伝えるかです。そのために本質を見きわめる作業として早い段階から企画にかかわる必要が出てくるのです。


<ふかうら雪人参のかたち>

 これまで沢山の依頼者と様々な商品や広告をつくり上げてきたなかで、特に印象に残っているのは、「セイリングのふかうら雪人参ビーフシチュー」だそうです。セイリングは深浦町にある人気レストランで、看板メニューのビーフシチューを家庭でも食べたいというお客さんの要望に応えようとしたのがきっかけでした。依頼者の「こんな商品を作りたい」という思いと向き合いつつも、現実的に「売れる」商品にデザインしなければなりません。シチューの具材、冷凍かレトルトか、そしてどんなパッケージに入れるのが効果的なのか。様々な工夫と試行錯誤が重ねられ、9ヵ月もの期間がかかって商品がかたちになったのです。

<地元をデザイン>

 代表の木村さんはエスパスの仕事以外に、「横町十文字まちそだて会」というNPO法人の副理事長も務めています。これは、黒石市の昔ながらの街並みが残る商店街のまちづくりを行う団体です。黒石市出身の木村さんは、にぎわいを失っていく地元のまちを何とかしたいという思いで参加したのだそうです。

木村さんらは、黒石のまちなかに、「人が集まるしくみ」をつくるため、他の地域の例も参考にしながらプロジェクトを考案しました。いくつものまち歩きツアーや交流の場・松の湯交流館の運営など、精力的な活動の甲斐あってまちに少しずつ変化が起きています。それは、商店街のお店の人がやる気になってきていることです。「『すごい!』って言われれば、お店の人の気持ちが変わる、元気になる。」その土地に慣れ親しんだ地元の人が、普段から地元の「魅力」に気づくことはなかなか難しいことだと思います。「まちづくりに必要なのは、『よそ者、若者、バカモノ』なんです。」と、木村さんは笑顔で仰っていました。高校、大学、職場が弘前だったため黒石を離れた木村さんは、地元を客観的に見直すことができたのだと思います。そういった視点と自らの能力を活かして、地元が賑わうしくみをも「デザイン」しているのでしょう。




<食べるための仕事?生きるための仕事?>

 木村さんは大学で美術を専攻していたものの、当時弘前にデザイン系の職場などは少なく、大都市に出たいとも思わなかったので、弘前の印刷会社に入社しました。数年後、自分がやりたいことはもっと他にあるはずと思い立ち、起業を決意したのです。紙と鉛筆さえあればできるからと、あまりリスクを考えることはなかったそうです。今でこそ企画やまちづくりをいくつもデザインしていますが、最初のうちは、本来のデザインとあまり関係ない仕事の依頼でも受け、ひたすら仕事に取り組んでいたそうです。起業するというと、失敗したら生活できなくなるという不安は出てくると思います。しかし、自分が納得できる生き方をするにはとても魅力的な選択なのだなと実感しました。


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